コラム

「定年再雇用」賃下げは違法??

平成28年5月13日東京地裁にて注目の判決がなされました。簡単に言えば労働契約法第20条(下記参照)により定年前と同じ仕事をし、責任の程度も変わらないにもかかわらず嘱託社員として再雇用されただけで賃金を下げることはできないことになります。

この判決によるポイントは「原告は運送会社のドライバー」にあります。
一般的に定年にともない仕事の内容が定年前よりも軽易になる、また責任の度合が低くなるにともない一定程度賃金を引き下げることは合理的かと思われます。ただ特に中小零細企業のドライバー職において仕事内容、責任の程度の「差」を明確に示すことは難しいケースが多いと考えれます。65歳までの雇用継続は会社にとって義務となってはいますが本音をいうと『雇用を継続するかわりに減額した賃金でいままで通りがんばってもらいたい』という感覚の事業者の方も多いのではないでしょうか。

もちろんこの判決はあくまで地裁レベルになりますので、今後ひっくり返される可能性はあります。ただもしこのまま判決が確定すればこれまでの定年再雇用の考え方を根本的に見直すことが必要になるかもしれません。

社会保険労務士 岡本芳幸

※労働契約法第20条
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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