コラム

社員が亡くなったときにすべきこと

不幸にも社員がなくなってしまったとき、担当者は何をすべきか主なもの(喪失手続き等以外)をまとめてみたいと思います。できれば起こってほしくないことではあります(特に労災事故は!)が、万が一起きてしまった場合、戸惑うことも多いと思いますので対応できるように確認しておきましょう。

■健康保険(私傷病の場合)
・埋葬料の請求
微々たるものではありますが健康保険から埋葬送料が支給されます。(一律5万円)
請求権者は被保険者に生計を維持されていた人となります。(請求者本人の口座を指定)
・傷病手当金請求
例えば入院等で休職し傷病手当金が支給されている場合、死亡日までの請求権は残ります。請求権者は民法による相続人となります。
■労災保険(業務上、又は通勤上の場合)
・葬祭料の請求
葬祭料とは、葬儀を行った人に支給される給付金です。遺族がいない場合は、葬儀を行った事業主や友人に支給されます。
・遺族(補償)給付
死亡した人の収入によって生計を維持していた遺族※(配偶者、子、父母、孫、祖父母、および兄弟姉妹)には遺族(補償)年金が、そのほかの遺族には遺族補償一時金が支給されます。また、これらの年金や一時金とは別に、遺族特別支給金として300万円も支給されます。※妻以外はなにかと要件が必要です・・
■住民税
納税義務は相続人に承継されますので、亡くなられた後に納める住民税がある場合には、相続人が納めることになります。そのため給与等の支払いがある場合は一括徴収したほうが相続人にとっては都合が良いと思います。
ただ1 月2 日から5 月までに死亡した場合には、その年の6 月からの住民税が相続人に請求されるのでその旨は伝えてあげるのが親切かと思います。
■未払いの給料等(退職金、弔金等々・・)
未払いの給料等はどうすればいいかについてですが、まずは自社の就業規則、慶弔金規定等を確認しましょう。もし規定がない場合は、民法上の相続人となりますので、支給する際には確認したうえでの対応が必要となります。
また注意事項として
・所得税を控除しないこと
※死亡後に支給する給与については相続税の対象となるためです。
・死亡日以前に支給された給与について年末調整を行い、源泉徴収票を作成すること

また規則等が整っていない場合下記のような例もありますのでご注意ください。
『亡くなった社員には相続人として妻と子がいました。歩合給などもあり未払い賃金は100万円を超えていました。その妻から全額ここに振り込んでほしいと連絡があり、何気に指定された口座に振り込みました。その後、その子から連絡があり、総額の半分を指定する口座に振り込んでくれとの連絡が入りました。会社はすでに妻に支払っていることを告げると激怒されました。その妻と子は疎遠で相続問題で揉めていたようです。』
場合によっては二重の支払を余儀なくされるリスクも大きくなります。
こういった思わぬトラブルが起こる場合もあるのです。ではどう対応すべきだったか・・
まず社員及び法定相続人の戸籍謄本を要求し相続人が明らかとならなければ支払うことはできない旨を伝えます。そのうえでもし相続人代表との申し出があれば相続人全員の委任状を要求すべきかと思います。

どちらにしてもこういった状況下でご家族に戸籍謄本を要求する等々しづらいかもしれません。まずはトラブル防止のためにも就業規則、慶弔金規定、退職金規定等において対応方法をきちんと整備しておくべきかと思います。普段必要のない規定などが逆に大事だったりするものです。ぜひ今一度自社の規則を見直してみてください。

以上のように社員が亡くなった際、悲しみに暮れぬ間もなくいろいろとすべきことが多いことがおわかりになるかと思います。また諸所の手続きについてご家族への配慮も忘れずに行いたいものです。そのためにはスムーズに手続き等が行えるように準備をしておくことが大切だと思います。

社会保険労務士 岡本 芳幸

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