事務所便り

令和4年9月号

産後パパ育休と育児休業との違いと産後パパ育休に係る労使協定

 令和4年10月1日に改正育児・介護休業法が施行され、出生時育児休業(産後パパ育休)制度が始まります。産後パパ育休と子どもが1歳に達するまでの育児休業には違いがあることから、以下ではその違いを対比した上で、産後パパ育休に関連して締結の検討が必要な労使協定について確認します。

 

■ 産後パパ育休と育児休業の違い

 産後パパ育休と育児休業の主な違いは下記のとおりです。多くの項目で違いがありますが、最大の違いは、労使協定を締結することで休業中に就業できることでしょう。その他、申出期限は原則2週間前までですが、労使協定を締結することで最長1ヶ月前とすることができます。

●●産後パパ育休●●

《対象期間・取得可能日数》…原則子どもの出生後8週間以内で4週間(28日間)が上限
《回数》…2回に分割して取得可能
《分割取得の申出》…初めに2回分まとめて申出が必要
《申出期限》…原則休業の2週間前まで(労使協定を締結することにより最長休業の1か月前までとすることができる)
《休業中の就業》…労使協定を締結することで休業中に就業することが可能

 
●●育児休業●●

《対象期間・取得可能日数》…原則として子どもが1歳に達するまでのうちで、従業員が申し出た期間
《回数》…令和4年10月より2回に分割して取得可能(これまでは原則1回)
《分割取得の申出》…取得する際にそれぞれ申出が可能
《申出期限》…原則休業の1か月前まで
《休業中の就業》…原則就業できない

 

■ 労使協定の締結

 産後パパ育休に係る労使協定の協定事項については、上記で確認した2つの項目以外にも、産後パパ育休を取得できる従業員の範囲があります。労使協定を締結することにより、以下の従業員からの申出を拒むことができます。

  1. 入社1年未満の従業員
  2. 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
  3. 週の所定労働日数が2日以下の従業員

 法改正後、子どもの出生後8週以内の男性の育児休業は、産後パパ育休としても、育児休業としても取得でき、その選択は従業員の自由とされています。よって、どちらとするか不明確な申出があった場合に、会社から従業員に確認することになります。今回の改正で従業員の育児休業の取得方法の選択肢は増えることになりますので、わかりやすく説明するようにしましょう。

アルコールチェックの義務化と直行・直帰時等の取扱い

 令和4年4月より、業務上、自動車を使用する一定の企業に、運転前後のアルコールチェックの実施が義務付けられました。10月からは、このアルコールチェックをアルコール検知器(以下、「検知器」という)により行うことになっていましたが、検知器の供給状況等から、この10月の施行は当分の間、見送られる予定です。

■ 義務化されたアルコールチェック

 乗車定員が11名以上の自動車を1台以上使用している事業所、その他の自動車を5台以上(自動二輪車は、原動機付自転車は除き1台を0.5台で計算)使用する事業所では、安全運転管理者を選任することが義務付けられています。この安全運転管理者の業務は、交通安全教育や運行計画の作成、運転日誌の備付け等、多岐にわたりますが、令和4年4月からは、酒気帯びの有無の確認と記録の保存が追加されました。追加された内容は以下のとおりです。

  1. 運転前後の運転者に対し、その運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
  2. 酒気帯びの有無を記録し、記録を1年間保存すること

 なお、10月からは、上記の1.の確認を、国家公安委員会が定める検知器を用いて行うことになっていましたが、検知器の供給状況等を踏まえ、当分の間、その義務化に係る規定を適用しないこととする内閣府令案が示されています(2022年8月10日現在未公布)。

■ 直行・直帰等の取扱い

 4月より始まったアルコールチェックを運用するにあたって、直行・直帰する場合や、出張で社有車を使用する場合のチェック方法が問題になります。これに関して、対面による酒気帯び確認が困難な場合は、これに準ずる方法で実施することになっており、例えば以下のように、対面による確認と同視できるような方法が挙げられています。

  1. カメラ、モニター等によって安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、検知器による測定結果を確認する
  2. 携帯電話等により運転者と直接対話により、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するともに、検知器による測定結果を報告させる
  3. ※検知器による測定結果の報告は検知器を用いることが義務化された後に実施が義務となる

 直行・直帰等のある場合には事前にその方法を定めておくとともに、検知器でのチェックが義務化された際には、個別に手配も必要になることがあります。
 安全運転管理者が不在の場合は、副安全運転管理者や安全運転管理者の業務を補助する者が酒気帯び確認を行うことになっています。検知器でのアルコールチェックは見送られる予定ですが、酒気帯びの有無の確認とその記録の保管は必要です。この機会に運用上の問題があれば改善しましょう。

弊所よりひと言

 今月号でご案内した育児介護休業法改正だけではなく、令和4年10月からさまざまな制度が変わりますので、改めてご案内しますのでご準備をすすめてください。
 ① 育児介護休業法改正(産後パパ育休創設等、令和4年4月法改正に続く改正です。)
 ② 社会保険適用拡大(社会保険被保険者100名超が対象で、パート、アルバイトの社会保険の加入要件が拡大されます。)
 ③ 社会保険の適用事業所の範囲見直し(士業の適用業種追加)
 ④ 社会保険被保険者の適用要件(雇用期間2か月以内の場合の見直し)
 ⑤ 育児休業中保険料免除要件見直し
 ⑥ 雇用保険料率の引き上げ

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