事務所便り

令和7年6月号

奨学金返還支援制度

 奨学金返還支援制度とは、学生時代に貸与された奨学金の返還を、企業や自治体などが支援する制度です。人材確保や定着促進、若者の経済的負担軽減などを目的として近年導入が増えています。
 支援実施している自治体の制度をご紹介致します。

■ 大阪府奨学金返還支援制度

 大阪府では中小企業等が従業員の奨学金返還を支援する制度を導入する際に、最大50万円の支援金を交付する「奨学金返還支援制度導入支援金」を実施しています。
【目的】:若者の経済的負担軽減と府内中小企業等への就職・定着を促進するため、企業が奨学金返還支援制度を導入する際の初期費用を支援
【支援内容】:従業員に対して奨学金返還に係る手当等を支給する、または従業員に代わって奨学金を返還する制度を導入した事業者に、最大50万円の支援金を交付
 なお、大阪府奨学金返還支援制度は実際に支援者が現状いない場合でも対象となりますので、今後の支援を検討することでも申請可能です。

■ 兵庫型奨学金返済支援制度(県内企業人材確保支援事業)

 兵庫県では、中小企業の人材確保や若年者の県内就職・定着を図るため、若手社員の奨学金返済を支援する中小企業及び当該企業に勤務する従業員への補助を行っています。
【目的】:県内の若手人材の確保や定着
【支援対象者】:正社員、日本学生支援機構の奨学金を受給し返済義務のある者、申請時点で県内事業所に勤務する者、40歳未満の者
【補助額例】:年間返済額18万円の場合、企業負担6万円、県負担12万円、従業員0円
【期間】:5年~最大17年

■ 京都府「就労・奨学金返済一体型支援事業」

 京都府内の中小企業等の人材確保と若手従業員の定着及び経済的負担軽減を図るため、従業員の奨学金返済支援を行う中小企業等が従業員に支給した手当等の額の一部を補助します。
【支援対象者】:府内の中小企業等で働く正社員で6年以内の者で奨学金返還中の者
【支援額】:企業が手当等として支給した額の2分の1(ただし、1年~3年目までは上限年9万円、4年~6年目までは上限年6万円)

■ 東京都「中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業」

 東京都は、中小企業の人材確保を支援するため、人手不足の中小企業が奨学金の貸与を受けている大学生等を技術者として採用する際、その奨学金返還の負担を軽減する事業を実施しています。
【対象企業】:技術者の若手人材の採用予定がある建設・IT・ものづくり分野の中小企業等
【助成額】:年間5万円、12万円、25万円を最大3年助成(同額を会社が負担)

 これらの制度は、地域によって対象者や支援内容が異なります。詳細な情報や最新の制度内容については、各都道府県や市区町村の公式ウェブサイトをご確認ください。また、日本学生支援機構(JASSO)のウェブサイトでも、地方公共団体が実施する奨学金返還支援制度の情報が掲載されていますので、参考にしてください。

改正労働安全衛生法が成立

 5月8日、衆議院本会議にて、改正労働安全衛生法及び作業環境測定法が可決、成立しました。多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、下記の措置を講ずるとされています。施行日は、別に記載のあるものを除き、令和8年4月1日です。

◆ 改正の概要

1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
 既存の労働災害防止対策に個人事業者等も取り込み、個人事業者等による災害の防止を図るため、
① 注文者等が講ずべき措置(個人事業者等を含む作業従事者の混在作業による災害防止対策の強化など)を定め、併せてILO第155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の履行に必要な整備を行う。〔一部は令和9年4月1日施行〕
② 個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。〔一部は令和9年1月1日、同4月1日施行〕

2.職場のメンタルヘルス対策の推進〔公布後3年以内に政令で定める日施行〕
ストレスチェックについて、労働者数50人未満の事業場についても実施を義務化。

3.化学物質による健康障害防止対策等の推進
① 化学物質の譲渡等実施者による危険性・有害性情報の通知義務違反に罰則を設ける。〔公布後5年以内に政令で定める日施行〕
② 化学物質の成分名が営業秘密である場合に、一定の有害性の低い物質に限り、代替化学名等の通知を認める。
③ 個人ばく露測定について、作業環境測定の一つとして位置付け、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図る。〔令和8年10月1日施行〕

4.機械等による労働災害の防止の促進等
① ボイラー、クレーン等に係る製造許可の一部(設計審査)や製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲を拡大。
② 登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、不正への対処や欠格要件を強化し、検査基準への遵守義務を課す。〔令和8年1月1日施行〕

5.高齢者の労働災害防止の推進
 高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施を事業者の努力義務とし、国が当該措置に関する指針を公表。等

弊所よりひと言

5月末に新潟に日帰りで出張してきました。クライアントのご担当者様に空港にお迎えに来ていただき、移動中に今話題のお米について新潟の方がどのように感じているのか、非常に興味がありお聞きしておりました。ご担当者様が兼業農家をされておられたのですが、その際におっしゃっていた言葉が非常に印象に残ったのでご紹介させていただきます。
米作りは、「儲からない手間のかかる趣味」とその方はおっしゃっていました。兼業農家の多くは先祖代々の田んぼをできる限り、途絶えないように米作りをされておられるそうです。
改めてお米の大切さに気付いた機会でした。

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