事務所便り

令和4年6月号

試用期間の位置づけと労働条件の設定

採用後、その従業員の能力や適性を判断する期間として、試用期間を設定する企業が多くあります。試用期間を設定するか否かは企業の判断になりますが、設定する際には、運用上の留意点があるため、その内容を確認しておきましょう。

■ 試用期間の位置づけ

試用期間は、採用後に自社の従業員として中長期的にふさわしい人材であるかを判断するための位置づけとされています。試用期間を設定すること自体に法令上の問題はありませんが、試用期間であれば自由に解雇や試用期間満了で退職とすることができるわけではなく、契約を終了するときには相応の理由が求められます。
また、労働基準法では「試みの使用期間中」として入社後14 日以内の従業員について、解雇予告の適用を除外していますが、この場合であっても、自由に解雇ができるわけではありません。
なお、一般的に試用期間を3 ヶ月から6 ヶ月程度として定める企業が多くありますが、試用期間中の従業員の身分は本採用後と比較して、不安定なものとなるため、極端に長い期間を設定することは、裁判で無効とされるリスクがあります。

■ 試用期間中の労働条件

従業員の労働条件は、法令に違反しない限り自由に設定することができ、試用期間中について、本採用後と異なる労働条件を設定することも可能です。この場合、求人募集の際にその内容を明記しておく必要があります。
例えば、ハローワークで求人を申込む際には、試用期間中の労働条件について異なるかを確認し、異なる場合には、試用期間中の労働条件をできる限り詳しく記入することになっています。

■ 就業規則へ規定すべき事項

試用期間を設定する際には、試用期間に関する事項を就業規則に規定しておく必要があります。規定する事項としては以下のようなものが挙げられます。

  1. 試用期間の目的
  2. 試用期間の長さ
  3. 試用期間中の賃金やその他の労働条件
  4. 本採用しない場合の基準
  5. 試用期間の延長に関する事項
  6. 勤続年数の算定にかかる試用期間の取扱い

就業規則にこれらの事項が定められていることを確認するとともに、採用時には試用期間があり、従業員としての適格性等を判断している旨を従業員に説明しておくことが重要です。
試用期間を設定している企業においても、その管理ができておらず、知らないうちに試用期間が終了し、自動的に本採用になっていたということがあるようです。試用期間を機能させるためには、試用期間が終了する前に直属の上司から従業員の勤務態度をはじめとした適格性等について確認し、必要に応じた教育を行うといった運用をすることも試用期間を設定する上でのポイントとなります。

在宅勤務の満足度8割超で過去最高に

公益財団法人日本生産性本部が4月22日、「第9回 働く人の意識調査」の結果を取りまとめ、公表しました。調査は、コロナ禍が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査として、2020年5月以降、四半期ごとに実施しているものです。今回は、4月11、12日に、日本の企業・団体に勤務する1,100人を対象にインターネットによるアンケート形式で実施しました。

■ テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は8割超えで過去最高

テレワーク実施率は20.0%と前回調査の18.5%から微増しています。在宅勤務の効率について「効率が上がった」「やや上がった」の合計は、60.4%。在宅勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は84.4%と過去最多となりました。
また、「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」との質問では「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計が71.8%でした。

■ 景況感は、現在の景気・今後の景気見通しともに悲観的な見方が増加

現在の景気について悲観的な見方(「悪い」「やや悪い」の合計)は、67.6%で、前回の66.4%より微増しています。今後の景気見通しについても、悲観的な見通しが51.4%と2回連続で増加しています。

■ 職場における生産性向上の取組みは、企業規模やテレワークの有無で実施率に差

職場での生産性向上への取組みについては、「業務の進め方の効率化」が52.0%と最多で、次いで「情報共有の推進」(51.8%)「コストの削減」(46.1%)「業務の改廃」(43.6%)と続いています。従業員規模別では、100人以下の中小企業と1,001人以上の大企業とでは、「業務の進め方の効率化」で 20 ポイント以上の差が見られるほか、その他の取組みでも企業規模による差が見られました。

【日本生産性本部「第9回 働く人の意識調査」】https://www.jpc-net.jp/research/detail/005805.html

弊所よりひと言

5月号ニュース発送後、完全テレワークの実施やRPA導入について、「どんなRPA使っているの?」とか、「どうやってテレワークを運用しているの?」と言ったご質問をいただきました。なかなか物を見ないとわからないこともありますので、是非事務所に見学に来ていただければご説明させていただきます。
弊所では、これまで所内の手続きや進捗などの管理をするのに、スプレッドシートを利用しておりますが、煩雑で管理がしにくいうえ、データベースとして利用できていないという課題がありました。それを解決するため木村文乃さんがCMで紹介しておりますサイボウズの業務改善クラウドサービス「kintone」を導入することにしました。ちょうど、「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進コース)」が利用できましたので、現在契約書を労働局に提出中です。
業務改善に要する費用の80%が助成されますので、弊所の場合はトータル費用427,246円(税抜)、助成金341,000円の予定です。実質9万円かからないくらいです。
皆様も、労働能率増進につながる設備投資する場合は、「働き方改革推進支援助成金」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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