事務所便り

令和4年5月号

令和5年4月より中小企業でも月60時間超の割増賃金率50%以上に!

 すでに大企業では、1ヶ月60 時間を超える法定時間外労働に対する割増賃金率が50%以上とされていますが、いよいよ令和5年4月1日より中小企業にもその適用が拡大されます。そこで、以下では割増賃金率の全体像と、今後トラブルの増加が懸念される未払い賃金の時効について確認しましょう。
 

■ 割増賃金率の確認
  1. 法定時間外労働 25%以上
  2. 法定休日労働 35%以上
  3. 深夜労働 25%以上

 現在、1ヶ月60時間を超えた法定時間外労働の割増賃金率(50%以上)は大企業のみの適用となっていますが、令和5年4月1日より中小企業にも適用が拡大され、全ての企業が対象となります。この50%以上の割増が必要となる時間は、1の法定時間外労働のみであり、2の法定休日労働をした時間数は含みません。
 一方で、1の法定時間外労働が深夜に及んだときは、3の深夜労働に対する割増賃金の支払いも必要となります。したがって、割増賃金率は1の1ヶ月60時間超と2の深夜労働を合わせた75%以上で計算して支払うことになります。

■ 未払い賃金の時効

 令和2年4月1日の改正民法および改正労働基準法の施行により、賃金請求権の消滅時効は2年から5年になりました。ただし、企業への影響を考慮し、当分の間、3年とする経過措置が設けられています。

 この時効(3 年)は令和4年4月1日以降に支払日のある給与から適用されます。例えば、令和2年4月25日が給与の支払日の場合には、その3年後である令和5年4月24日で消滅時効が完成します。令和4年4月1日より改正民法の施行から3年目に入ることで、令和4年4月以降に未払いの賃金等がある場合、これまで最大2年間の請求となっていたものが、最大3年分を遡って請求される事案の増加が予想されます。

 特に時間外労働に対する未払いについては、今後、割増賃金率の引き上げと相まって労働者の関心が高まることから、さらに適正な労働時間管理が求められるようになるでしょう。

 時間外労働が多い中小企業の会社にとって、割増賃金率の引き上げは、人件費の大幅な増加につながります。いまのうちから、時間外労働の削減に向けた取組みを進めましょう。そして、未払い賃金が発生しないように、改めて正しい給与計算を行うと共に、問題となりやすい管理監督者の範囲や固定残業制度の運用などについても確認をしておきましょう。


5月は「自転車月間」です! 改めて見直しておきたい企業の自転車管理

■ 増えている自転車の業務利用

 ご存じですか、5月は「自転車月間」です。
 新型コロナウイルスの影響により、「運動不足解消のため」「満員電車の密を避けるため」「在宅の時間が増え、近所で用事を済ませるようになったため」などを理由に、自転車利用が増えています。政府も積極的な自転車利用を推進しているところであり、自転車の通勤や業務での利用を認めるようになったという企業も多いのではないでしょうか。
 一方、自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に、加害者が高額の損害賠償を命じられる判決事例も、近年、相次いでいます。業務中・通勤途上の自転車事故については、使用の実態や事故発生時の状況により会社責任が問われることもあり、注意を要します。

■ 「保険加入」の確認、できていますか?

 特に注意して確認したいのは、自転車保険等への加入です。
 被害者救済の観点から自転車保険等への加入促進を図るため、自転車活用推進本部(本部長:国土交通大臣)では「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」を作成・通知して、条例による自転車保険等への加入義務づけを要請しており、令和3年4月1日現在、自転車保険等への加入について、義務とする条例が22都府県、努力義務とする条例が10道県で制定されています。
 たとえば東京都では、自転車の利用者に対し、対人賠償事故保険への加入が義務化され、あわせて、自転車を業務で使用する事業者にも同様の義務が課されました。また、自転車を通勤に利用する従業員がいる事業者にも、自転車通勤者が保険に加入していることを確認する努力義務が課されています。

■ リスク管理のために

 自転車の業務利用を許可制としている会社は多いと思われますが、許可に際して、対人賠償事故保険に加入しているかを確認することは、リスク管理上、必須といえます。許可基準として、「通勤/業務に使用する自転車に関する事故につき、損害賠償責任の保険金額が無制限の保険を契約していること」などが設けられているか、確認しましょう。

弊所よりひと言

 弊所の職員1名が令和4年4月より、配偶者の東京転勤のため完全テレワークになりました。
 弊所では新型コロナウイルス感染症の拡大以前より、少しずつ在宅勤務やテレワークを実施し、感染拡大防止のために職員の在宅勤務の日数を増やしてきました。そのため、今回配偶者の転勤の事態においても、これまでのように勤務できる体制が整いましたので、完全テレワークになりますが、引き続き勤務することとなりました。本人も他の職員も完全テレワークで仕事ができるか少々不安もありましたが、今のところ職員同士で業務分担を見直し、混乱やトラブルもなく実施できております。
 また、4月よりRPAを導入しております。現在は雇用保険の電子申請手続の進捗を確認し、手続きが終了しているものがあれば、公文書データをダウンロードして、クライアントに手続の控えを送付する手前まで、夜、職員がすべて帰った事務所で一人、PCがせっせと稼働して処理しております。今後は、社会保険や雇用保険の入社や退社の手続きの一部を自動的にコンピューターにしてもらうように取り組んでまいります。まだ、RPAも導入初期段階ですので、どれくらい業務効率化が図れるのかは今後の利用の仕方次第ですが、業務が正確かつ迅速にできるような体制を作っていきますので、クライアントの皆様にもご協力をお願い致します。
 ここ数年で、テクノロジーの進化は「働く」現場に多くの変化をもたらしています。今まで不可能だと思われたことが可能になる、それを実感し実践しながら変化を楽しめる社労士事務所でありたいと思います。

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