事務所便り

令和3年2月号

育児休業中の就労について

 育児休業中に就労することはできるか?

育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供を消滅させる制度です。よって、休業期間中に就労することは想定されていません。
しかし、労使の話合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することができます。ただし、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることになりません。

 育児休業中の就労にあたっての留意点

事業主の一方的な指示により就労させることはできませんので、労働者が自ら事業主の求めに応じ、合意することが必要です。また、事業主は、育児休業中に就労しなかったことを理由として、人事考課において不利益な評価をするなど、労働者に不利益な取扱いをしてはなりませんし、上司や同僚からのハラスメントが起きないよう、雇用管理上必要な措置(マタハラについての相談体制の整備、相談が発生したときの適切な対応等)を講ずる必要があります。

 一時的・臨時的に就労した場合、育児休業給付金は支給されるか?

上記のように、一時的・臨時的にその事業主の下で就労した場合、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金は支給されます。

 一時的・臨時的就労に該当するケース

厚生労働省が公表している「育児休業中の就労について」というリーフレット(令和2年12月)において、一時的・臨時的に就労と該当する例と該当しない例が示されています。

  1. 労働者の育児休業期間中に、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の詳細や経緯を知っている当該労働者に、一時的なトラブル対応を事業主が依頼し、当該労働者が合意した場合。
  2. 労働者は育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的に当該労働者が得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、当該労働者が合意した場合など。

これらの事例はあくまで一例であり、これらの事例に合致しないケースが一律に一時的・臨時的な就労に該当しないことにはなりません。

また、一時的・臨時的就労と判断されない例として、③労働者が育児休業開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間で月20日間勤務する場合や、毎週特定の曜日または時間に勤務する場合、を挙げています。

テレワークではモチベーション低下対策を

 テレワーク実施前後のモチベーション変化

昨今急速に普及したテレワークですが、働く人々のモチベーションにはどのような影響があるのでしょうか。株式会社リクルートキャリアは、コロナ禍でテレワークをするようになった就業者2,272名に、仕事に関するアンケートを実施しました。現在もテレワークを実施している人に働くモチベーションについて聞いたところ、テレワーク実施前では「やや低い」「非常に低い」の回答は14.1%であるのに対して、テレワーク実施後の同指標は22.5%(8.4pt増)でした。つまり、テレワークによってモチベーションが低下した人が増えているのです。

 モチベーションを左右する要素

社会組織心理学の第一人者であるハックマンは、取り組むべき仕事が次の5つの要素をどの程度満たしているかによって、人々のモチベーションが左右されるとしています。

  1. 求められるスキルの多様性
  2. 仕事の全体感の把握
  3. 仕事の重要性の実感
  4. 仕事の進め方の裁量
  5. 上司や同僚からのフィードバック

この5つのうち、テレワークによって影響を受けたと感じた人が多かったのが、②仕事の全体感の把握(テレワーク実施前後で20pt減)、③仕事の重要性の実感(同13.2pt減)、⑤上司や同僚からのフィードバック(同15.6pt減)でした。

 普段以上にコミュニケーションを!

テレワークによるモチベーション低下を防ぐには、上記②③⑤に働きかけることが有効だと考えられます。アンケートのフリーコメントからは、テレワークにより上司や同僚とのコミュニケーションが減少したことによって、これらの度合いが低くなったと感じている様子が読み取れます。つまり、テレワークでは、普段以上に上司や部下、同僚間のコミュニケーションを密に行うこと、職場の全員がそれを心掛けることが必要です。テレワークを“導入して終わり”にするのではなく、コミュニケーションをとりやすくするための施策(オンラインツールの活用、1on1の実施等)を行うことが成功の鍵といえるでしょう。

【株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」】

弊所よりひと言

【弊所よりひと言】
昨年11月から12月頃にクライアント様から、「労基署の調査の通知が送られてきた。」、「いきなり労基署の監督官が来た。」という問い合わせや税理士の先生から、「顧問先が労基署の調査を受けて是正勧告を受けている。」ということでご紹介をいただいたケースなど1か月間に5件も労基署調査についての相談やご紹介がありました。実は令和2年11月は厚生労働省が「過重労働解消キャンペーン」で、過重労働が行われているような会社への重点監督を実施していました。令和2年4月より時間外労働上限規制が中小企業にも適用されたことが背景にあるのは間違いないと思われます。監督調査を受けた業種も、飲食業、製造業、建設業でした。時間外労働の問題は、①時間外が36協定の範囲内かどうかという問題だけでなく、②適正に時間外手当を支給しているかという問題も同時にチェックされます。本年度においても、引き続き時間外労働おける労基署の監督調査は強化されると予想されますので、労働時間管理とそれに伴う時間外手当の支払について普段から適正管理しておく必要があるでしょう。

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