事務所便り

令和2年8月号

新型コロナ感染症による社会保険の標準報酬月額の特例改定

標準報酬月額の特例改定

今般の新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業により報酬が著しく下がった方について、一定の条件に該当する場合は、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定可能となりました。

対象となる方

以下の3つの要件すべてに該当している方が対象となります。

  1. 事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)させたことにより、急減月(令和2年4月から7月までの間の 1 か月であって、休業により報酬が著しく低下した月として事業主が届け出た月)が生じた方
  2. 急減月に支払われた報酬の総額(1か月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方
    ※固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。
  3. 特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意している方
    ※被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要です(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金および年金の額が算出されることへの同意を含む)。
    ※本特例措置は、同一の被保険者について複数回申請を行うことはできません。
対象となる保険料

令和2年4月から7月までの間に休業により報酬等が急減した場合に、その翌月の令和2年5月から8月分保険料が対象となります。

※令和3年1月末日までに届出があったものが対象となります。それまでの間は遡及して申請が可能ですが、給与事務の複雑化や年末調整等への影響を最小限とするため、改定をしようとする場合はできるだけ早めの手続きが求められます。

注意事項
  • 通常の月額変更届・算定基礎届と提出先が異なります。
    ⇒管轄の年金事務所に郵送、もしくは窓口へ提出します。
  • 通常の月額変更届・算定基礎届と様式が異なります。
    ⇒届書および申立書は、日本年金機構ホームページからダウンロードできます。
  • この特例改定の届出は、電子証明書を利用した e-Gov からの電子申請や G ビズ ID を利用した電子申請、電子媒体による申請には現時点では対応していません。
  • 特例改定の届出を行うか否かにかかわらず、通常の算定基礎届の提出は変更なく必用です。
    日本年金機構のリーフレット

精神障害の労災が最多に~令和元年度「過労死等の労災補償状況」より

仕事が原因で精神疾患 労災申請・認定ともに最多

令和元年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、平成 14 年から、労災請求件数や労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめています。

本調査によれば、仕事が原因で精神疾患にかかり令和元年度(2019 年度)に労災申請したのは 2,060 件、支給決定件数は 509 件となり、いずれも統計開始以降最多でした。

業種別では「医療・福祉」が最多

請求件数でみると、業種別(大分類)では、「医療、福祉」426 件、「製造業」352 件、「卸売業、小売業」279 件の順に多くなっており、支給決定件数でみると、業種別(中分類)では、「社会保険・社会福祉・介護事業」が 48 件と最も多く、次いで「医療業」(30 件)、「道路貨物運送業」(29 件)と続きました。

年齢別では、請求件数は「40~49 歳」639 件、「30~39 歳」509 件、「20~29 歳」432 件、支給決定件数は「40~49 歳」170 件、「30~39 歳」132 件、「20~29 歳」116 件の順に多くなっています。

パワハラ法制化による労災認定基準の改正

令和2年5月 29 日付けで精神障害の労災認定の基準が改正され、具体的出来事等に「パワーハラスメント」が追加されました。労災認定基準にパワハラの類型が新設されたことで、より早期にパワハラの問題が認識されることになります。会社にとっては、一層パワハラ問題も意識した対策が必要になってくるでしょう。

新型コロナウイルス感染症の影響

また、現在新型コロナウイルスの流行により、治療に当たる医療関係者はじめエッセンシャルワーカー等のメンタルヘルスの問題がたびたび話題に上っています。新型コロナウイルス感染症による働き方や環境の変化に伴い業務過多が生じ、結果的に長時間労働に陥ってしまうというようなケースもあります。

今後、様々な変化を踏まえ、企業としても労災が起きないような環境づくりに取り組んでいきたいところです。

弊所よりひと言

弊所では在宅勤務の頻度が増えてきたこともあり、問題もでてきました。これまで各役所に提出した書類のコピーをしてファイルに保存しておりましたが、在宅の場合、提出した書類が見えないので、Zoom を通じて他の職員に確認してもらうということが発生します。特に役所からの問い合わせなどの場合に困るわけです。

そこで、これまでコピーしてファイルに保存していたものを、PDF でデータ化しファイル名もルールに基づいて名前をつけて、NAS に保存するように変えました。これで、家からでもどこからでもファイルを確認できます。在宅勤務はやってみて、問題が出てそれを改善していく。これに尽きると思います。

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