10月1日から職場におけるカスタマーハラスメント( 以下、「カスハラ」という)の防止対策が企業に義務付けられます。企業は、事業主の方針等の明確化をはじめとした5つの具体的な対応が求められます。以下でその詳細を確認します。
事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発については、以下の2つの対応が求められています。
① カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を保護する旨の方針を明確化し、その内容を従業員に周知・啓発すること
② カスハラの内容とあらかじめ定めた対処の内容を、従業員に周知すること
①については、例えば社内報等に会社の方針を記載し、配布することや、研修等で従業員に周知・啓発すること等が挙げられます。
また②に関しては、各企業の実態に応じて対処の内容を定めることとなりますが、例えば以下のものが挙げられます。
・従業員から管理監督者等に直ちに報告し、その場の対応の方針について指示を仰ぐこと
・暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については、警察へ通報すること
・現場対応が困難な場合においては、本社・本部等へ情報共有を行い、指示を仰ぐこと
相談体制の整備については、相談窓口を定めて従業員に周知すること、そして相談窓口担当者が相談のあった際に適切に対応できるようにしておく必要があります。カスハラについての一次相談窓口は、従業員の上司に当たる管理監督者等を設定することも考えられます。
従業員からカスハラの相談の申出があった際に、事実関係を迅速かつ正確に確認すること、カスハラが生じた事実を確認できた場合は、すみやかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、再発防止に向けた措置を行うことが求められています。
特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、従業員に周知し、適切に対処できる体制を整備することが求められています。
相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を行い、それを従業員に周知することや、相談したこと等を理由として不利益な取扱いがされない旨を定め、それを従業員に周知・啓発することが求められています。
10月1日から求職者等に対するセクシュアルハラスメント(以下、「求職者等セクハラ」という)の防止対策が企業に義務付けられます。求職者等セクハラに関しては、求職者等向けに対応しなければならない点が、他のハラスメントとの違いになります。以下では、その定義や対応を行う際の注意点を解説します。
求職者等セクハラとは、従業員による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されることをいいます。この「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、求職活動等の例として、以下のものが挙げられます。
• 企業の採用面接への参加
• 企業の就職説明会への参加
• 企業の雇用する従業員への訪問
• インターンシップへの参加
• 教育実習、看護実習等の実習の受講
求職者等セクハラ防止対策としては、次の4つの対応が必要です。
① 事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
② 相談体制の整備
③ 事後の迅速かつ適切な対応
④ そのほか併せて講ずべき措置
この4つの対応のうち、事前に実施することがポイントとなる①と②について解説します。
事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発として、次の3つの対応が求められています。
① 求職者等セクハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業員に周知・啓発する
② 求職者等セクハラを行った者については、厳正に対処する旨の方針および対処の内容を、従業員に周知・啓発する
③ 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、従業員および求職者等に周知・啓発する
これらのうち、③については、例えば従業員に対して、面談時間・場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNS の種類の指定、その他の求職者等と面談等を行う際の規則を定め、周知・啓発するための研修、講習等を実施することが必要です。求職者等に対しては、従業員向けの規則を踏まえ、面談等に関する留意事項をホームページやパンフレット等の広報手段を用いて周知等することが求められます。
相談体制の整備として、求職者等が相談できる相談窓口を整備する必要があります。企業は相談窓口を整備した上で、求職者等に対して相談窓口があることを周知する必要があります。
上記のポイントを押さえた上で、就業規則の改定や相談体制の整備などの対応を進めていきましょう。
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