同一労働同一賃金ガイドライン(以下、「ガイドライン」という)が改正され、10月1日から適用となります。そのため、この改正ガイドラインの適用に向けて、自社の取扱いで問題があるような場合は対応が求められます。以下では、今回の改正の経緯 、改正内容のポイントを確認します。
同一労働同一賃金の施行から5年が経過したことを踏まえ、昨年2月から見直しに向けた議論が行われてきました。現行のガイドラインの策定後、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差に関する複数の最高裁判決が出されたこともあり、その内容を盛り込む形で、ガイドラインの内容の見直しが行われました。
今回改正された項目は以下の9つです。現行のガイドラインから記載が充実されたものと、項目として新規に追加されたものとがあります。
• 賞与(記載の充実)
• 退職手当(新規追加)
• 無事故手当(新規追加)
• 家族手当(新規追加)
• 住宅手当(新規追加)
• 福利厚生施設(記載の充実)
• 病気休職(記載の充実)
• 夏季冬季休暇(新規追加)
• 褒賞(新規追加)
これらの中から、新規に追加された退職手当、住宅手当および夏季冬季休暇について、ガイドラインに示されている内容を見てみましょう。
【退職手当】
支給目的には労務の対価の後払い、功労報償等の様々な目的が含まれます。これらの目的が妥当するにもかかわらず、パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員との間の職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります。
【住宅手当】
住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければならない。
【夏季冬季休暇】
パートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。
過去の最高裁判決では、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間に待遇の相違があったとしても、正社員人材確保論から不合理ではないと認められたものがありましたが、改正ガイドラインでは、正社員人材確保論のみをもって、待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではないという考えが示されました。待遇差が不合理と認められるか否かは、その待遇の性質・目的にも照らして判断されるものであるとしています。
改正ガイドラインの内容を踏まえて、まずは自社の現在の状況を点検しましょう。状況の整理・対応の検討に向けて、お困りごと等がありましたら、当事務所までご連絡ください。
従業員を雇入れた際に労働条件の明示を行う義務がありますが、従業員のうち、パートタイマーや契約社員を雇入れた際の労働条件の明示事項が10月1日より追加されます。以下では、その内容と合わせて確認しておきたい漏れがちな明示事項を確認します。
パートタイマーや契約社員など(以下、「パート等」という)、正社員よりも1週間の所定労働時間が短い労働者や期間の定めがある労働者にはパートタイム・有期雇用労働法(以下、「パート・有期法」という)が適用されます。このパート・有期法の第14条第2項で、会社はパート等から求めがあったとき、正社員との間の待遇の相違の内容と待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならないと定められています。今回、パート等にこの「説明を求めることができること」を、より知らせる目的から、労働条件の明示事項として追加されることとなりました。
改正の背景を踏まえ、パート等を雇入れた際、労働条件通知書等の項目として、新たに「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」を追加する必要があります。厚生労働省が提供するモデル労働条件通知書では、次のような記載例が示されています。
次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。 部署名 ●●課 担当者氏名 ●●●● (連絡先●●●●●●)
記載例の「通常の労働者」については、自社における呼称(「正社員」等)に置き換えて記載することも可能とされています。
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