先日、あるクライアントから「採用した社員が、実は過去に事件を起こしていたことが採用した数日後にわかったのだが、解雇してよいのか。」というご相談がありました。過去に事件を起しているのだから、解雇すればよいと思いますか。
社員を募集する際には、どこの会社も履歴書の提出を求めますが最近の履歴書には「賞罰欄」を記載していないことが増えています。実際にクライアントの会社から入社時にいただく履歴書を確認しましたが、ほとんどが「賞罰欄」がありません。会社が特に「賞罰欄」について記載を求めることもないうえ、記載されていても「賞罰なし」としか記載されていないので、気にも留めません。
相談いただいたクライアントから対象の社員の履歴書を確認したところ、やはり「賞罰」欄はなく、記載がされていませんでした。また、面接の際に、賞罰について質問をして前科の有無の確認もしていませんでした。履歴書に「賞罰なし」と書かれていたり、面接時に前科などないと確認できていたら、入社後に前科や犯罪歴があることが発覚した場合は、経歴詐称を理由に解雇も検討できたでしょう。
前科のある人を採用することについては、それぞれの会社の方針で決定することと思いますが、職種や業種から前科のある人を避けたい、前科の内容によっては採用を避けたいというような場合は、履歴書において、「賞罰」の記載を募集の段階で求めましょう。
前科があるのかどうかは、採用する会社側で正確な情報を把握することはできません。民間に公表されている犯罪者等のデータリストなどはないからです。警察、検察がもっている情報や戸籍に記録されているくらいですから、会社が採用を検討しているときに把握することは困難となります。
ただし、新聞、インターネット上などに過去の犯罪として名前が記録されていることはありますので、最近の採用活動においては、応募者の名前を検索したり、SNSにおいてどのような発言をしているかを調べて報告するような業者もあります。
社員を採用する際には、どのような人物を求めるのか、どのような人物であればNGなのかを決めたうえで、履歴書や経歴書などの各種書類に漏れはないか、確認すべきことはないか慎重に取り扱うことが重要です。採用後に取り消すことは、簡単ではないからです。
人手不足を背景に、年齢に関わらず優秀な人材を雇用する動きがみられます。その中で、他社で定年となり退職した人を採用し、有期労働契約で雇用しているケースもみられます。このような従業員については、無期転換の取扱いに注意が必要であるため、その内容を確認します。
無期転換ルールとは、同一の会社との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、従業員からの申込により、次の契約から無期労働契約に転換できるというものです。例えば、労働契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換申込権が発生することになります。
自社で定年後に継続雇用として、有期労働契約を締結するケースがありますが、この有期労働契約も、通算5 年を超えると無期転換申込権が発生します。例えば、60 歳の定年退職後に継続雇用となり、有期労働契約を更新し、65 歳以降も雇用することが考えられます。この場合、有期労働契約が通算5 年を超えることになり、無期転換申込権が発生します。ただし、この定年後に継続雇用した従業員については、適切な雇用管理に関する計画を作成し、労働局に申請して会社として認定を受けることにより、「有期労働契約が通算5 年を超えたとしても、無期転換申込権が発生しない」という特例があります。この特例は、あくまでも自社で定年を迎えて継続雇用した従業員が対象であり、他社で定年を迎えて、その後、採用した従業員(自社で定年を迎えていない従業員)は対象外です。
無期転換に関する事項については、有期労働契約を締結・更新するにあたり、労働条件通知書に記載が必要です。無期転換の申込ができる従業員には、無期転換の申込ができること等を明示し、無期転換後の労働条件が異なるのであれば、その内容を記載する必要があります。また、労働局の認定を受けたことに伴い、無期転換申込権が発生しない特例の対象となる従業員には、その旨を記載しておくことが必要です。
定年年齢を超えた有期契約労働者には、
① 無期転換申込権が発生していない人(有期労働契約が通算5 年未満の人)
② 無期転換申込権が発生している人(有期労働契約が通算5 年を超えた人)
③ 無期転換申込権が発生しない人(特例が認められている場合の対象者)
の3 つに分けることができます。取扱いを混同しないように、内容を整理しましょう。
なお、無期転換権の発生しない特例の申請については弊所にご相談ください。
今年も残り1か月を切りました。毎年1年はあっという間に感じます。
今月の12月1日で発行済みの健康保険証は使用できなくなります。そのため、12月2日以降は、医療機関等の窓口で、「資格確認書を提示する」、「マイナ保険証を利用する」、そして「スマホ保険証を利用する」といった3つの方法により保険診療を受けることになりますので、社員の皆様にも御周知をお願い致します。
そこで、「スマホ保険証」を利用できるように設定しようとしたところ、私のスマホでは対応していないようでした・・・・。
ただし、混乱を避けるためか厚生労働省より医療機関等に対して、来年の3月までは健康保険証を持ってきても、10割負担を求めず、一部負担での対応をするように通達が出ているようです。とはいえ、新しい保険証に早めに切り替えてください。
※旧保険証は、各自が廃棄していただき、弊所には送付しないようにしてください。
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