事務所便り

令和6年2月号

政府の少子化対策をまとめた「こども未来戦略」が決定されました

 政府は12月22日、少子化対策をまとめた「こども未来戦略」を閣議決定しました。今後3年間の集中的な取組みである「加速化プラン」には、「共働き・共育ての推進」が盛り込まれています。具体的な内容は次の通りです。今後法改正を経て施行される見込みです。

■ 育児休業の取得促進

・2週間以上の男性育休の取得率を2030年に85%へと引上げ。
・次世代育成支援対策推進法を改正、一般事業主行動計画に数値目標の設定、PDCAサイクルの確立を定め、育休取得から円滑な職場復帰までの支援、勤務時間や勤務地への配慮等を盛り込ませる。
・育児・介護休業法における育休取得率の開示義務について、常時雇用する労働者数が300人超の事業主に拡充し、有価証券報告書における開示を進める。
・産後8週間以内に両親が14日以上の育休を取得した場合の給付率を手取り10割相当に。
・代替要員確保等の体制整備を行う中小企業への助成措置を大幅に強化。
・「くるみん認定」の取得など、育児休業の取得状況等に応じた実施インセンティブの強化。

■ 育児期の柔軟な働き方の推進

・フレックスタイム制の義務化、テレワークの努力義務化…こどもが3歳まで。
・「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」を創設…こどもが3歳以降小学校就学前まで、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、テレワーク、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、休暇から、事業主が複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度。
・「育児時短就業給付(仮称)」を創設…こどもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合、賃金の10%を支給。体制整備を行う中小企業に助成措置を実施。
・所定外労働の制限…こどもが小学校就学前までに引上げ。
・子の看護休暇…こどもが小学校3年生修了時までに引上げ。休暇取得事由の見直し。

■ 多様な働き方と子育ての両立支援

・週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者も失業給付や育児休業給付等の受給対象者へ
・国民年金の第1号被保険者を対象に育児期間に係る保険料免除措置を創設。

  【こども家庭庁「こども未来戦略~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」】

拡充されたキャリアアップ助成金「正社員化コース」

 有期雇用労働者等を正社員に登用したり、処遇改善の取組みを実施したりする企業への支援としてキャリアアップ助成金が設けられていますが、2023年11月29日に、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」が拡充されました。この拡充された内容をとり上げます。

■ 正社員化コース

 「正社員化コース」とは、就業規則等で規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員に転換等をした場合に助成金が支給されるものです。有期雇用労働者以外にも、正社員ではない無期雇用労働者を正社員に転換した場合、また、正社員への転換だけでなく、多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)に転換した場合等も「正社員化コース」の対象となります。

■ 拡充された内容

今回、拡充された内容は以下のとおりです。
 ① 助成金の額の見直し
 支給対象期間が「6ヶ月」から「12ヶ月」に拡充され、助成金額も、有期雇用労働者からの転換の場合、中小企業で57万円から80万円(大企業の場合42.75万円→60万円)に拡充されました。

 ② 有期雇用労働者の要件緩和 
 有期雇用労働者から正社員に転換する場合、有期雇用の期間が6ヶ月以上で、通算3年以内という要件が設けられていましたが、6ヶ月以上のみに緩和されました。なお、有期雇用の期間が通算5年を超えた有期雇用労働者を正社員に転換する場合、助成金の額は、①の表のとおり、無期雇用労働者が正社員に転換した場合と同額になります。

 ③ 正社員転換制度規定の加算 
 今回、正社員転換制度の導入に取り組む場合の加算措置が新設されました。正社員転換制度を新たに規定し、その雇用区分に転換等をした場合に20万円(大企業の場合15万円)が加算されます。なお、1事業所当たり1回のみの支給となります。

 ④ 多様な正社員制度規定の加算
 多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)制度を規定し、この雇用区分に転換等をした場合の助成金の額が40万円(大企業の場合30万円)に拡充されました。この加算措置も1事業所当たり1回のみの支給となります。

 キャリアアップ助成金を利用する際は、事前にキャリアアップ計画書を管轄の労働局へ提出することが必要です。また、Q&Aが公開されていることから、活用を検討される場合は事前に内容を確認しておきましょう。

弊所よりひと言

 一般社団法人日本能率協会(以下JMA)が2022年に行った調査『日本企業の経営課題 2022』 では、「現在の課題」として、トップ3の項目は昨年・一昨年と変化はありませんが、1位の「収益性向上」、2位の「人材の強化」は昨年よりも比率が上昇しました。
 また、「3年後の課題」については、過去3年間の推移を見ると、1位の「人材の強化」は昨年と比較して比率が増加しており、比較的直近において重視度が高い課題と捉えられていることがわかります。
 我々社労士への相談でも、人材採用に苦労していることや、やっと採用できてもなかなか定着しないなど、人材の強化に関する相談は増えています。人口減少時代になり、会社は「選ぶ側」から「選ばれる側」になり、企業として今後どう取り組めばよいのか考える機会として弊所主催のセミナーを別紙の通り実施しますので、是非ご参加ください。

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