コラム

当日シフトに穴が!・・・代わりを探すのは誰?

先日、あるクライアント様からこんな相談を受けました。
「よく当日になってお休みの連絡をしてくるパートさんがいて困っている。すぐには代わりも見つからないし、何とかしたい」
小学校低学年のいろいろ大変な息子を持つ私には耳の痛い話でしたが、、、

シフト制の場合は、会社側としては「代わりを探してください」と言いたいところですが、果たしてそれは許されるのでしょうか?

シフトを作成するのは会社です。急な欠勤があっても困らないようにするため、シフト作成時から多めに人員を配置する、などの対応ができていれば現場が困ることもありません。しかし、人件費が膨らむ、そもそも人手不足でそこまで回らない、といった事情でそのような対応ができないために代替要員が必要になっているということは、余裕を持ったシフトを作成しなかった会社側に責任があると言えます。極端に言えば、「人が足らなくなっても仕方ない」という経営判断を下したのと同じことなのです。
また法律上労働者とは、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」と定義されています。つまり労働者が仕事を休んだ場合は、対価としての賃金を得られない、ということで収束する話で、「自分の代わりの労働者を探す」という義務までは負っていません。

上記のことから判断すると、代替要員を探すのは労働者ではなく会社側なのです。

しかし、当日となるとなかなか簡単には代替要員が見つからないことが多いのではないかと思います。結局人手不足で現場は混乱という事態を招きかねません。

そんな問題を解消する方法の一つとして、「多能工を育てる」ということが挙げられます。

「多能工」とは、一人で複数の業務をこなすことができる人材のことです。トヨタ自動車の元副社長がその仕組みを考案したということで、製造業においては聞きなれたものかもしれません。
最近では、コロナ禍での人手不足なども相まって、この多能工という考え方が業種を問わず注目されているようです。
例えばスーパーマーケットを例にとると、レジ打ち、品出し、お惣菜など業務が細分化されている中で多能工を育てることで、レジ打ちのパートさんが急に休んだのでその日はレジ打ちに専念する(急なお休み対応)、一人の多能工が時間帯ごとに多忙な業務を行うことができる(人件費削減)といった具合です。
会社規模が小さければ小さいほど、一人何役もこなせる多能工の存在が重宝されると言えますね。

とはいえ、入社したての人材にあれもこれも、と仕事を覚えてもらうことは難しいので、ある程度勤務実績のある人材を多能工に育てることになりますし、業務の習得も一朝一夕にはいかないので、育成には時間がかかります。しかし、前述のとおりうまくいけば急なお休み対応はもちろん、人件費削減や人材不足解消の一手になると考えられます。

今後、働き方改革の一環として「多能工育成」を考えられてみてはいかがでしょうか。

最後に、今回のコラム作成に当たり関連記事をネットで検索していたところ、某大手ハンバーガーチェーン店の、とある店舗バックヤードに掲示されていた「お休みは取れます。ただしその時は代わりの方を自分で見つけてくださいね。」というお知らせの写真が、「●●さん(会社名)、ブラック企業ですね」といった趣旨の文言とともに拡散されているのを発見しました。

今のご時世、このような事で簡単に会社の信用が失われてしまいかねません。十分にご注意を!

立花 文代

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