コラム

歩合給にも残業代が必要?

「残業代はどうやって計算されているのだろうか?」給与明細などを見て考えたことがある方も多いと思います。私自身は給与計算の事務をするようになってから残業代の計算方法を知りましたが、残業代計算は知れば知るほどとても奥深いものだということを感じています。今回は残業代の計算方法の一例として、歩合給がある場合の残業代についてご紹介させていただきます。

■歩合給とは
「歩合給」とは、労働者の一定期間の稼働による売上高に一定の歩合を乗じた金額を給与として支払う成果報酬型の給与体系で、いわいる出来高払制の一種です。例えば、タクシーのドライバーや、営業社員等に対してこの賃金システムが見受けられます。

■歩合給に残業代は必要?
 歩合給制の場合には、それが賃金の全部または一部であっても、時間外労働があれば別途、歩合給に対する残業代を支払わなければいけません。なお、歩合給の残業代は計算方法が特殊なので下記で計算方法を確認しましょう。

■歩合給の残業代の計算方法

 ・「総」労働時間で割ること
 ⇒日給制や月給制等の場合の残業代は、法定時間外労働1時間当たりに支払われる通常の賃金(基礎賃金)(=1)に、割増賃金率(=0.25)以上を加えて計算しなければなりません。そして、日給制や月給制等の場合の基礎賃金は、日給や月給等の「所定」労働時間で除して計算します。
 これに対して、歩合給の場合の割増賃金は、歩合給制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における「総」労働時間数で除した金額です。
 このように日給制や月給制等の場合と歩合給制で基礎賃金の算出方法が異なるのは、日給や月給が労働契約上の所定労働時間に対する賃金として支払われるのに対して、歩合給は、労働者が実際に労働したすべての時間に対して支払われているという違いがあるからです。

・割増率は0.25で足りること
⇒日給制や月給制等の場合の残業代は残業1時間当たりに1.25分以上の支給が必要ですが、歩合給の場合には実際に労働したすべての時間に対する対価であることから、時間外労働の「1」の部分はすでに支払済みなので、0.25分以上の支給で足ります。

■まとめ
今回のポイントは歩合給でも法定時間外労働があった場合には、残業代の支給が別途必要であることと計算方法が原則的な方法と異なるということです。また、歩合給という名称に限らず、実態が歩合給要素のある手当なのであれば上記の定められた方法で計算をしなければなりません。歩合給を導入したいという声をクライアント様からよく伺うこともありますが、計算方法は原則のものと比べ煩雑になりますし、ミスの原因にもなりやすいので、歩合給の導入時は残業代計算の実務部分も対応が可能かよく検討しましょう。
 
松本 哲弥

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