コラム

労務管理の目的とは~運送業の「安全」について~

最近、長距離バスやトンネルでのトラック追突事故などの悲しいニュースをよくみます。そのたびに家宅捜索が行われ、長時間労働の実態など会社の労務管理の不備が指摘されます。被害者又は遺族への損害賠償と社会的責任から仕事が減り、倒産する可能性も高まります。特に運送業を営む多くの事業者の方にとっては他人ごとではないと感じられているのではないでしょうか。

要因は様々ですが特に規制緩和による運送業界に参入する業者の増加、また中型自動車免許の創設等による慢性的な人材不足に陥っていることが挙げられます。一方でネットショッピングサイトが生活に浸透する等、配送の需要は以前よりも高まっています。ただ「配送無料!」の文字が並び、消費者はそれに慣れてしまっているようにも思います。その結果値下げの要求と品質の維持を求められ大手運送会社が撤退したニュースも記憶に新しいと思います。くわえて特に中小零細企業では、長時間労働での未払賃金が発生し、多額の支払請求を求められることも急激に増えています。

運転業務では労働基準法諸法令とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)という基準が示されています。
例えば
・一日の拘束時間は16時間まで
・運転連続時間は4時間まで
・運転時間の限度は連続する2日間平均9時間まで

等々細かい基準が決められています。問題は経営を成り立たすためにはルールよりも採算を優先せざるを得ない状況となっていることです。個々の会社はもとより業界全体の問題でもあるのです。これだけルールが細かくなった背景には事故の原因について運転手の疲労によるものが多いという事実にあります。安全に運転する「からだ」と「こころ」がなければ事故の確率は当然高まります。
労務管理はルールを守ることが目的ではありません。「安全にひとやものを運ぶこと」という目的のためにルールを守るにすぎません。運送業にとってあたりまえの「安全」という理念を再度掲げるという観点から労務管理を見直してみませんか。

社会保険労務士 岡本芳幸

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