コラム

健康診断 ~実施しないことによる「リスク」とは~

会社員の方であれば毎年、なにげなく受けている「健康診断」。労務管理という点から「健康診断」を解説します。

【健康診断を実施する義務について】
労働者を一人でも雇用すれば以下の理由により「健康診断」を行う義務が発生します。
■労働安全衛生法違反
労働安全衛生法第66条において「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない」と規定されています。
■安全配慮義務違反
会社は従業員が安全に働くことができる環境を整備し、長時間労働や重労働などの作業環境をなくし、労働者が健康を保てるよう責任と義務を負っています。健康診断を実施はもちろんさらには健康診断を受け異常が発見されたにもかかわらず、再検査など適切な措置をとらなければなりません。

【実施方法について】
単に健康診断を受けさせるだけでは足りません。
健康診断の受診結果については、各労働者ごとに「健康診断個人票」を作成し、会社に最低5年間保存する義務が会社に課せられています。さらに、常時50名以上の労働者を使用する会社の場合、健康診断結果を労働基準監督署に提出しなくてはいけません。

【費用について】昭和47年9月18日 基発602号
会社にとって健康診断とは義務となりますので、会社は費用負担の法的義務までは負っていませんが原則的には会社が費用の負担をすることが望ましいとの通達が出ています。

【実施時間中の賃金について】昭和47年9月18日 基発602号
会社には労働者の健康の確保の義務があり、業務命令という意味合いが強いこともあり、健康診断の実施時間における賃金を支払うことが望ましいと通達が出ています。
※ただし必ず支払わければならないとの法的な定めはありません。

【リスクについて】
最近よく耳にする長距離バスの事故、また過労死やうつ病などによる自殺等が発生すると、長時間労働等はもちろん「健康診断の受診の有無、受診後の適切な処置はとられているか」も必ず調査対象となります。もし、実施していなければ事業主の安全配慮義務違反を問われてしまい、過労死などのケースでは損害賠償責任が生じ、悪質な場合、労働安全衛生法違反として、刑事的にも書類送検される可能性も十分にあるのです。
労働者の健康を守ることはもちろん、会社にとっての「リスク管理」も今一度見直していただればと思います。

岡本 芳幸

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